
A.~新しい環境問題~
地球環境問題と共に、「環境ホルモン」の問題も大きな関心を呼んでいます。
そもそもホルモンとは、生物体の様々な変化を制御している化学物質です。
多くのホルモンは、生体自身が作り出しています。ところが、ホルモンと似た
物質が、自然界や人間が作り出したものの中にあるのです。これが体内に
取り組まれると、ホルモンと似た働きをして、体調をおかしくする原因になる
ことがわかってきました。
《これを環境ホルモンと呼びます。》
環境ホルモンは、他の環境汚染物質よりはるかに少ない量でも生体に作用します。
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野生生物の生殖異変の例
・アメリカで、野生のワニが工場排水によってメス化。
・イギリスのエア川のある場所では、ローチという魚で生殖異変が発生。
オスの精巣の中にメスの象徴である卵が見つかりました。原因は、近くの
羊毛工場で使われた洗剤が下水処理場で分解されてできたノニルフェノール
という物質でした。
・日本ではイボニシという巻貝で生殖異変が発生しました。日本全国で調べた
メスのほぼすべてに、オスの生殖器が生えていました。原因は船の底に塗る
塗料などに使われてきた合成化学物質・有機スズでした。しかも、微量の
有機スズでも生殖異変が発生することが研究の結果明らかになりました。
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原因が明らかになったものについては、すでに製造や使用が禁止されるなどの対策が
講じられていますが、「環境ホルモンになるのではないか」という嫌疑物質については
未だ対策が講じられていない状況です。「嫌疑」程度なので、もともと影響は小さいです。
このため、その白黒をはっきりさせるには、大変な確認実験が必要で、「嫌疑状態」が
長く続いてしまう...ということになります。
プラスチックの添加剤、原料、燃焼ガスなどにも、この嫌疑物質があります。その多くが
長年問題なく使われてきた用途です。長年使われてきた材料を変えるのは、簡単では
ありません。まず適当な代替物質を見つけ、その安全性を確認しなければならないからです。
これまで、材料が変わった場合もありますし、環境ホルモンとしての作用がほとんどない
ことがわかり、従来通り使われている場合もあります。
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嫌疑物質について
・ノニルフェノール(工業用洗剤・ラップなど)
・ビスフェノールA(プラスチック食器、ほ乳瓶、缶、歯の詰め物など)
※ポリカーボネートの主原料だが、軽いホルモン作用があると言われている。
・フタル酸エステル(おもちゃ、食品用手袋など)
※塩化ビニールの可塑剤として使われるが、軽いホルモン作用があると
言われている
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将来、どんな結論が出るにせよ、議論の途中の段階で、私たちがどう判断すべきかは
難しい問題だと言えるでしょう。
