
A:では耐熱性プラスチックについて見てみましょう。
耐熱性プラスチックとは、読んで字のごとく、『熱によく耐えるプラスチック(樹脂)』
ということになります。
当然、金属、セラミック等には及びませんが、樹脂部品を、過酷な使用条件下で
使用するために、数百度の温度に長時間耐える樹脂が登場しています。
○耐熱性について
物理的耐熱性と、化学的耐熱性に区別されています。
①物理的耐熱性(短期耐熱性、耐熱軟化性)
・・・高温下で、機械的強度が大きく低下しない。
・・・軟化などの物理的変化が生じない。
☆ガラス転移温度(Tg)、融解温度(Tm)、軟化温度、荷重たわみ温度が高いこと。
②化学的耐熱性
・・・高温下で、酸化・熱分解によって劣化しない。
・・・高温下で、化学変化を起こさない。
☆☆連続使用温度が高いこと。
※熱分解による物性の経年変化の大小を意味するため、化学的耐熱性
に入る。
○プラスチックの耐熱化の方法
上記で述べたタイプによって、耐熱化の方法が異なっています。
①物理的耐熱性
目的 方法
・分子鎖の運動性の抑制 ・・・架橋密度を高める ・・・芳香環構造を導入
・分子の凝集性の向上 ・・・極性結合の導入
・複合化 ・・・無機材を複合化する(ガラス繊維、炭素繊維等)
②化学的耐熱性
目的 方法
・分子鎖の運動性の抑制 ・・・架橋密度を高める ・・・芳香環構造を導入
・分子の凝集性の向上 ・・・極性結合の導入
・強い化学結合の導入 ・・・強い化学結合の導入 ・・・無機樹脂の導入
(炭素、フッ素結合) (ケイ素樹脂等)
○主な耐熱樹脂
①ポリエーテル・エーテルケトン(PEEK)
荷重たわみ温度:186℃ Tg:145℃ Tm:340℃
②全芳香族ポリエステル(スミカスーパーS1000)
荷重たわみ温度:293℃ 連続使用温度:250℃ ※明確な融点はない。
③芳香族ポリアミド=アラミド
メタ系アラミド(ノーメックス、コーネックス、アピエール 等)
Tg:260℃ 熱分解開始温度:430℃ ※コーネックス
パラ系アラミド(ケブラー、テクノーラ、トワロン 等)
熱分解温度:500℃
※200℃でも常温の70%の強度を保持
④ポリイミド(メルディン 他)
荷重たわみ温度:360℃
※高価であるが、耐熱性に最も優れた樹脂の1つ。
⑤ポリベンゾイミダゾール(PBI)(セラゾール)
荷重たわみ温度:435℃ Tg:427℃ ※明確な軟化点はない。
※300℃で48時間加熱しても、強度の低下はほとんどない。
⑥ポリエーテルサルフォン(PES)
荷重たわみ温度:203℃ Tg:225℃ ※明確な融点はない。
⑦ポリアミドイミド
荷重たわみ温度:270℃
次回は、ポリマーアロイについて見てみましょう。